PS5で長時間ゲームをプレイしていると、「本体が熱いけど大丈夫?」「冷却ファンを追加した方がいいのかな?」と心配になったことはありませんか。高性能なPS5だからこそ、熱問題は気になるところです。結論から言うと、ほとんどの通常利用環境では追加の冷却ファンは必要ありませんが、特定の状況下では熱対策が重要になります。この記事では、PS5の冷却性能の基本から、追加ファンが必要になる条件、そして後悔しないための選び方まで、プロの視点で徹底的に解説していきます。
- PS5が本来持つ高い冷却性能の秘密
- 追加の冷却ファンが必要になる具体的な状況
- 冷却ファンを導入するメリットと隠れたデメリット
- 自分のプレイスタイルに合った冷却ファンの選び方
PS5に冷却ファンは本当に必要か徹底解説
- PS5本体の温度上昇は問題ない?
- 内蔵ファンの静音性は十分なレベル
- 熱暴走によるフリーズの心配は?
- 縦置きと横置きで冷却性能は変わる
- 寿命を縮める原因はホコリ詰まり
PS5本体の温度上昇は問題ない?
PS5でグラフィックの綺麗なゲームを長時間楽しんでいると、本体背面から温かい風が出てくることに気づくでしょう。このため、「こんなに熱くなって大丈夫だろうか?」と不安に感じるかもしれません。しかし、結論から言うと、通常の利用範囲であればPS5本体の温度上昇は全く問題ありません。
その理由は、ソニーが開発段階で徹底した熱対策を施しているからです。PS5の内部には、APU(CPUとGPUを統合したプロセッサ)の熱を効率的に吸収するための「液体金属グリス」という特殊な素材が採用されています。 これは従来のサーマルグリスよりも格段に高い熱伝導率を誇り、プロセッサの熱を素早くヒートシンクへ移動させることが可能です。
さらに、本体内部には直径120mm、厚さ45mmという非常に大型のシロッコファンが搭載されています。 このファンが大量の空気を本体内に取り込み、液体金属で集められた熱を巨大なヒートシンク経由で強力に外部へ排出する仕組みです。 つまり、本体が温かくなるのは、内部の熱が正常に排出されている証拠と言えます。
熱設計のこだわり
PS5の設計者は、コストを抑えつつも高い冷却性能を実現するために、早い段階から液体金属の採用を決めていました。 もし液体金属を使わなかった場合、本体はさらに大きく、高価になり、ファンの音も大きくなっていたと語られています。
このように、PS5は標準状態で非常に優れた冷却システムを備えているため、特別な対策をしなくても安定して高性能を維持できるように設計されています。
内蔵ファンの静音性は十分なレベル
以前のゲーム機、特にPlayStation 4 Proなどでは、高負荷なゲームをプレイすると「まるで飛行機が離陸するような」と表現されるほどのファン音が気になることがありました。その経験から、PS5のファン音について心配している方もいるかもしれません。
しかし、ご安心ください。PS5では、前述の優れた冷却システムのおかげで、内蔵ファンの静音性が大幅に向上しています。巨大なファンを搭載することで、低い回転数でも十分な風量を確保でき、結果として静かな動作音を実現しているのです。
もちろん、非常に静かな部屋で耳を澄ませばファンの回転音は聞こえますし、ディスクドライブ搭載モデルであれば、ディスクの読み込み時に一時的に音が大きくなることもあります。ただ、ゲームの音声にかき消される程度のレベルであり、プレイへの集中を妨げるような轟音が発生することはほとんどありません。
実際にPS4 ProからPS5に乗り換えたユーザーの多くが、その静かさに驚いています。ゲームの世界に没入する上で、この静音性は非常に大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、もし購入当初と比べて明らかにファンの音が大きくなったと感じる場合は、後述するホコリの蓄積が原因である可能性が考えられます。
熱暴走によるフリーズの心配は?
「熱暴走」とは、電子機器の内部温度が許容範囲を超えてしまい、パフォーマンスが低下したり、フリーズや強制シャットダウンといった不具合が発生したりする現象のことです。 PS5は高性能なだけに、熱暴走のリスクを心配する声も聞かれます。
結論として、PS5は熱暴走が起こりにくい設計になっていますが、可能性はゼロではありません。PS5には、本体温度が異常に高くなった場合にパフォーマンスを自動的に制限する「サーマルスロットリング」という保護機能が備わっています。 これにより、致命的な故障に至る前段階で処理能力を抑え、温度の上昇を防ぎます。
通常の環境で、PS5の周囲に十分なスペースが確保されていれば、熱暴走を心配する必要はほとんどないでしょう。 しかし、以下のような悪条件下ではリスクが高まるため注意が必要です。
熱暴走を引き起こす可能性のある環境
・テレビ台の中など、密閉されて空気の流れが悪い場所に設置している
・直射日光が当たる場所や、暖房器具の近くに置いている
・本体の吸気口や排気口が壁や物で塞がれている
・内部にホコリが大量に溜まり、冷却効率が著しく低下している
もしゲームプレイ中に「PS5本体の温度が高すぎます」という警告メッセージが表示されたり、頻繁にフリーズやシャットダウンが発生したりするようであれば、まずは設置環境の見直しや内部の清掃を行うことを強くおすすめします。
縦置きと横置きで冷却性能は変わる
PS5の独特なデザインから、「縦置きと横置き、どちらが冷えるのか?」という疑問は多くのユーザーが抱くところです。一部では「縦置きの方が煙突効果で排熱効率が良いのでは?」という意見もありますが、ソニーの公式見解および設計者の説明によると、縦置きと横置きで冷却性能に有意な差はありません。
PS5の冷却システムは、大型の電動ファンによって強制的に空気の流れを作り出しています。 このようにファンで強制的に排熱を行うシステムの場合、自然な空気の上昇(煙突効果)が冷却性能に与える影響は、測定誤差レベルのごくわずかなものになります。
したがって、どちらの置き方を選ぶかは、冷却性能を気にするよりも、ご自身の設置スペースや見た目の好みで決めて問題ありません。
置き方よりも重要な「エアフロー」の確保
縦置きか横置きかということよりも、本体の周囲に十分な空間を確保することが冷却においてはるかに重要です。ソニーは、本体の周囲に最低10cmの空間を空けることを推奨しています。 壁際にぴったりつけたり、棚の中にぎゅうぎゅうに詰め込んだりすると、吸気と排気がスムーズに行われず、熱がこもる原因となります。
どちらの置き方を選択するにせよ、PS5がしっかりと「呼吸」できるスペースを確保してあげることが、安定したパフォーマンスを維持する鍵となります。
寿命を縮める原因はホコリ詰まり
PS5が本来持つ優れた冷却性能を長期的に維持する上で、最大の敵となるのが「ホコリ」です。本体内部、特に吸気口や冷却ファン、ヒートシンクにホコリが蓄積すると、空気の流れが妨げられ、冷却効率が著しく低下します。
冷却効率が落ちると、内部の温度が上昇しやすくなります。その結果、内蔵ファンは常に高速で回転する必要があり、騒音の増加やファンの寿命を縮める原因に繋がります。さらに、高温状態が長時間続くと、内部の電子部品に負担がかかり、熱暴走や故障のリスクを高めることにもなりかねません。
幸いなことに、PS5はユーザー自身が簡単にメンテナンスできるよう、ホコリ対策が考慮された設計になっています。
簡単なホコリ除去の方法
PS5の白いカバーは、特別な工具なしで簡単に取り外すことができます。カバーを外すと、「ダストキャッチャー」と呼ばれる2つのホコリ溜め用の穴が現れます。 ここに溜まったホコリを掃除機で吸い取るだけで、基本的なメンテナンスは完了です。
また、冷却ファンに付着したホコリも、エアダスターや柔らかい布を使って優しく取り除くことができます。
掃除の頻度の目安
設置環境にもよりますが、3ヶ月から半年に一度程度の定期的な清掃が推奨されています。 ペットを飼っているご家庭や、カーペットの上などホコリが舞いやすい場所に設置している場合は、よりこまめなチェックを心がけると良いでしょう。
追加の冷却ファンを検討する前に、まずはこの基本的なメンテナンスを実践することが、PS5の健康と寿命を保つ上で最も効果的な対策と言えます。
追加のPS5冷却ファンが必要になる条件
- 後付け冷却ファンの本当の効果とは
- 冷却ファンを付けるデメリットも存在
- 後悔しない冷却ファンの選び方
- タイプ別のおすすめ冷却ファンを紹介
- 最終結論:通常はPS5に冷却ファンは必要ない
後付け冷却ファンの本当の効果とは
「通常の使用では追加ファンは不要」と解説してきましたが、ではどのような場合に後付けの冷却ファンが有効なのでしょうか。その本当の効果は、劣悪な設置環境を補助し、わずかな安心感を得ることにあります。
例えば、どうしてもテレビラックの中や壁際など、空気の流れが悪い場所にしかPS5を置けない場合。このような状況では、PS5本体の排熱だけでは熱がこもってしまいがちです。 ここに後付けファンを追加し、強制的に空気の流れを作り出すことで、ラック内の熱を外部に排出し、吸気を助ける効果が期待できます。
また、真夏の冷房がない部屋で長時間プレイするなど、室温自体が非常に高い環境下でも、追加の送風は本体温度の上昇をわずかに抑制する助けになるかもしれません。
言ってしまえば、後付けファンは「PS5本体を直接冷やす」というよりは、「PS5周辺の空気循環を改善する」という役割が大きいです。本体の冷却性能を劇的に向上させる魔法のアイテムではありませんが、環境が原因の熱問題に対する補助的な対策としては一定の効果が見込めます。
ただし、製品によってはPS5本来のエアフローを妨げてしまい、逆効果になる可能性も指摘されているため、製品選びには注意が必要です。
冷却ファンを付けるデメリットも存在
追加の冷却ファンを導入することは、メリットばかりではありません。購入してから「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、考えられるデメリットをしっかりと理解しておくことが重要です。
追加冷却ファンの主なデメリット
- 騒音の増加:PS5本体が静かであるため、追加したファンの動作音が逆に目立ってしまうことがあります。特に安価な製品は騒音が大きい傾向にあり、ゲームへの没入感を損なう可能性があります。
- USBポートの占有:多くの冷却ファンはPS5本体のUSBポートから電源を取ります。 そのため、コントローラーの充電や他の周辺機器で使いたいUSBポートが一つ埋まってしまうことになります。USBハブ機能付きの製品もありますが、その分価格は高くなります。
- 消費電力の増加:わずかではありますが、ファンを動かすための電力を余分に消費します。
- 故障のリスクと保証の問題:ファンも機械である以上、故障する可能性があります。また、万が一、後付けファンが原因でPS5本体に不具合が生じた場合、メーカーの保証対象外と判断されるリスクもゼロではありません。
- 効果が不明瞭な製品も:市場には多くの製品が出回っていますが、中には設計が悪く、PS5本来の空気の流れを妨げてしまい、かえって冷却効率を下げてしまう「逆効果」な製品も存在します。
これらのデメリットを考慮すると、明確な必要性が無い限り、安易に冷却ファンを追加することは必ずしも推奨されません。まずは設置環境の見直しや定期的な清掃といった、基本的な熱対策を優先することが賢明です。
後悔しない冷却ファンの選び方
もし、ご自身の設置環境などを考慮した上で、追加の冷却ファンの導入を決めた場合、どのような点に注意して製品を選べば良いのでしょうか。後悔しないための選び方のポイントをいくつかご紹介します。
冷却ファン選びの5つのチェックポイント
- PS5のモデルに対応しているか確認する:PS5には通常版(ディスクドライブ有り)とデジタル・エディション、そして小型化されたPS5 Slimがあります。本体サイズや形状が異なるため、必ず自分の持っているモデルに対応した製品を選びましょう。
- 設置タイプで選ぶ(縦置き・横置き):ご自身のPS5の設置スタイルに合わせて、縦置き用か横置き用かを選びます。 製品によっては両対応のものもあるので、設置方法を変える可能性がある場合は便利です。
- 静音性をチェックする:製品レビューなどを参考に、動作音が静かなモデルを選びましょう。「〇〇dB(デシベル)」といった騒音レベルの記載があれば、判断材料になります。一般的に30dB以下であれば静かとされています。
- 給電方法と追加機能を確認する:ほとんどの製品はUSB給電です。USBポートを塞ぎたくない場合は、USBハブ機能が付いているモデルがおすすめです。 他にも、コントローラーの充電スタンドやゲームソフトの収納ラックが一体となった多機能な製品もあります。
- 信頼できるメーカーとレビューを選ぶ:安価すぎる無名ブランドの製品は避け、多くのユーザーから高評価を得ている信頼できるメーカーの製品を選ぶのが安心です。実際の使用感に関するレビューは非常に参考になります。
これらのポイントを総合的に判断し、自分のプレイスタイルや設置環境、予算に最も合った製品を選ぶことが、後悔しないための鍵となります。
タイプ別のおすすめ冷却ファンを紹介
PS5用の冷却ファンは、大きく分けて2つのタイプが存在します。それぞれの特徴を理解し、自分のニーズに合ったものを選びましょう。
1. スタンド一体型タイプ
これは、PS5本体を設置するスタンドに冷却ファンが内蔵されているタイプです。主に縦置き用の製品が多く、PS5の底面から送風することで周辺の空気循環を促します。
メリット | デメリット |
---|---|
・コントローラー充電、ソフト収納、USBハブなど多機能な製品が多い ・PS5周りをスッキリ整理できる ・安定性が向上するモデルもある |
・設置スペースが大きくなる傾向がある ・価格が比較的高め ・製品によっては冷却効果が限定的との意見も |
こんな人におすすめ:冷却機能だけでなく、コントローラーの充電や収納など、PS5周りの利便性をまとめて向上させたい方。
2. 本体取り付け型タイプ
PS5本体の背面(排気口)や側面などに直接取り付けるコンパクトなタイプです。本体内部の熱を強制的に吸い出して排熱を補助する仕組みのものが主流です。
メリット | デメリット |
---|---|
・コンパクトで設置スペースを取らない ・比較的安価な製品が多い ・取り付けが簡単なものが多い |
・機能が冷却に特化しており、多機能性はない ・製品によっては動作音が気になる場合がある ・設計が悪いとPS5本来の排熱を妨げる可能性も |
こんな人におすすめ:設置スペースを増やさず、純粋に排熱の補助だけを目的としたい方。
どちらのタイプを選ぶにしても、レビューをよく確認し、信頼性の高い製品を選ぶことが大切です。特に本体取り付け型は、PS5のエアフローを邪魔しない設計になっているかどうかが重要なポイントになります。
最終結論:通常はPS5に冷却ファンは必要ない
- PS5は標準で非常に優れた冷却システムを搭載している
- 設計段階から熱対策が徹底されており通常使用では問題ない
- 本体が温かくなるのは内部の熱が正常に排出されている証拠である
- 大型ファン搭載によりPS4時代より静音性が大幅に向上した
- 熱暴走は劣悪な環境でなければ基本的に心配は不要
- 縦置きと横置きで冷却性能に大きな差はない
- 置き方よりも本体周囲の空間確保が重要になる
- 冷却性能を低下させる最大の原因は内部へのホコリの蓄積
- 定期的なホコリの掃除が最も効果的な熱対策といえる
- 追加ファンは劣悪な設置環境を補助する目的で有効な場合がある
- ファン導入には騒音増加やUSBポート占有などのデメリットも伴う
- 逆効果になる粗悪な製品も存在するため注意が必要である
- ファンを選ぶ際はモデル対応、静音性、追加機能などを確認する
- スタンド一体型と本体取り付け型の2タイプが存在する
- まずは設置環境の見直しと清掃を優先することが推奨される